自立支援介護とは?お世話をする介護から自立を促す介護へ!

自立支援介護とは?お世話をする介護から自立を促す介護へ!

介護と聞くとどんなイメージをもちますか?

「病気やケガ、老化により身体を思うように動かせない人に対して、できないことを手助けしたり、代わりにやってあげたりする。」

そういったイメージを持っている人も少なくないのではないでしょうか。

実は、介護保険制度の基本的な考えは自立支援なのです。

家族の介護をしている人、介護職として高齢者と関わる機会が多い人には、自立支援介護という考え方は、ぜひ心得ておきたい大切な考え方です。

今回は自立を促す介護、自立支援介護について解説していきます。

介護保険の目的は自立支援

介護保険の目的は自立支援

介護保険法の第1条に

”尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係わる給付を行う”

厚生労働省:介護保険制度全体を貫く理念

との記載があります。

ひと昔前までは、介護は「家族で行うもの」というイメージがありました。

その後、2006年に介護保険制度が施行されてからは、介護認定を受けると、介護度に応じてさまざまな介護サービスを受けることができるようになりました。

すると、これまで家族介護が中心だった世間のイメージも大きく変化し、「介護は人に頼んでもいいのだ!」という考えも浸透してきました。

介護保険を使ってサービスを受けることで、家族の負担を減らすことができます。

また、要介護の状態になってもひとり暮らしを継続したり、住み慣れた家や地域で暮らすことができたりします。

自立を促す環境つくりとは?

自立を促す環境つくりとは?

環境が人に及ぼす影響は想像以上に大きいといえます。

環境というと住環境などを連想しますが、その人に係わる人々の理解や障がいに対する認識、声かけや関わり方も環境に含まれます。

本人の能力を生かした介護

例えば、脳梗塞で左半身麻痺になってしまったAさんは、車いす生活になりました。

面倒見が良いAさんの母親は「私が車椅子を押してあげるから」といって、いつも車椅子を押して、身の回りのこともすべて行ってくれます。

しかし、Aさんの夫は「右手と右足は使えるんだから、自分で車椅子を動かすんだよ」と言って、できることは自分でするように促しました。

一見すると、Aさんにとって母親の関りが介護のように感じてしまいます。

しかし、Aさんが車椅子を自由に使いこなせるようになり、日常生活でできることが増えていくのは夫のような関り方なのです。

家事援助は「一緒に」を心がける

ヘルパーサービスの家事援助でも、介護度が軽く動ける人であれば、基本的には一緒に行うことを心がけるようにしましょう。

能力的に難しい部分だけ手伝って、できるところは一緒に行うようにするとよいでしょう。

具体的には

  • 献立を考えてもらい、一緒に買い物に出かける
  • 洗濯物を運ぶのは手伝って、本人に干したり畳んだりしてもらう
  • 掃除機はヘルパーが行い、本人には拭き掃除や整理整頓をしてもらう

などです。

家事は脳を使う作業なので、本人が主体となることで、脳も身体も活動的に動かすことができます。

ですが、ヘルパーさんはなんでもしてもらえるもの!と思っている人もまだまだ少なくありません。

介護保険は、自立を支援するための制度だということを最初にしっかりと理解してもらう必要があります。

リハビリテーションの専門家に相談しよう

介護をしていると、介護する側の視点で物事を判断してしまうことがあります。在宅介護では、自分の生活を維持しながら介護を行っていかなければなりません。

本人にやってもらうと時間もかかるので、いっそのこと手伝ってしまったほうが、はやく物事が進むと思うこともあるでしょう。

リハビリテーションの専門家である理学療法士や作業療法士などは、その人ができる一番高い能力を常に探りながら、運動の指導や動き方のアドバイスを行っています。

介護をしていて、どのような関わり方をしたらいいのか困った時は、理学療法士や作業療法士に相談してみてください。

普段の生活でも本人の能力を生かした介護をすることで、日常生活全体がリハビリテーションとなり、より本人の自立を促すことになるのです。

福祉用具を活用する

介護保険には、福祉用具貸与という制度があります。本人の能力に合った適切な福祉用具を設置することで、見守りや介助が必要だった動作が自分で行えるようになる場合があります。

例えば、自室からトイレまでの距離が遠い場合、伝い歩きならできるという人であれば、手すりの設置や歩行器を導入することで、介助なしにトイレに行けるようになるでしょう。そうなると、本人にとっても自分の行きたい時に、自分のペースでトイレに行けるようになるというわけです。

福祉用具貸与は以下の13品目が対象となります。

  • 車いす
  • 車いす付属品
  • 特殊寝台
  • 特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 移動用リフト(つり具の部分を除く)
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助杖

ただし、要介護度によっては介護保険の給付対象外になるものもあるので、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。

過剰な介護で身体機能が低下⁈

過剰な介護で身体機能が低下⁈

その一方で、介護保険の問題点も指摘されてきました。

それは「能力的にできることでも、介護という名目でその機会を奪っているのではないか?」ということです。

例えば、ヘルパーのサービスを受けている高齢者が、いつしか家事も買い物も全てヘルパー任せになってしまい、その結果、外に出る機会が減って活動量が減ってしまった。といった事例がありました。

介護される人が持つ能力を把握しないまま、なんでもかんでもやってあげてしまうと、その人が持つ能力を低下させてしまうこともあるのです。

ですが、面倒な事をやってくれる人が目の前にいれば、ついつい甘えてしまうのが人の心理。

介護する側は、自立を促すような声かけや環境設定を心がけることが大切です。

要介護4.5でも自立支援はできる!

要介護4.5でも自立支援はできる!

介護をされている状態を、本人の視点でみてみると

  • 自分が行きたいタイミングでトイレに行けない
  • 食べたいものを食べたい時に食べられない
  • お風呂の時間や頻度も決められてしまう
  • 1人で出かけたいと思っても、常に付き添いがいる

といった状況であるともいえます。

介護状態になるということは、物事を自由に「自分の意思で決める機会が減っていく」ということでもあるのです。

身体的な介護がどうしても必要な状況であっても、意思疎通が少しでもとれるのであれば、声の掛け方で自立を促すことができます。

YESとNOで答えられる質問(クローズドクエスチョン)だけではなく、

  • 今日は何が食べたいですか?
  • この服とこの服なら、どっちがいいですか?
  • 散歩にいくならどこに行きたいですか?

など、本人に選択してもらうのもよいでしょう。

自分の意思で決めることも、自立を促すことにつながっていきます。

まとめ

介護保険制度の基本的な考え方は自立支援ということをお伝えしました。

本人が過ごす生活環境の設定や、介護をする側の心がけでも、自立を促すことができます。

また、介護度が重い人であっても、選択の機会を意識してもらうように心がけましょう。

本人の能力を生かした関わり方を行うことで、日常生活の活動自体がリハビリテーションとなり身体機能の維持や改善につながっていくのです。