高齢化の進む日本。少子化も追い打ちをかけ、約15年後の2035年には約3人に1人が65歳以上の高齢者になるという予測がされています。誰もが身近になる「介護」という課題に対し、独自の啓蒙活動を行っている方々にPoly編集部がインタビューします。
今回お話を伺うのは、今年(2019年)5月末、クラウドファンディングで「日本を救う!おじいちゃん・おばあちゃんが活き活きと踊り出すオリジナルPVを作る」というチャレンジを見事達成!!「生きがい応援ナース」、ふうみんこと平岡史衣(ひらおかふみえ)さんです。
告知: 9/16(木)敬老の日に、アンコールプロダクション主催で開催されるイベント「アンコールフェス」の紹介ページはこちらです
プロフィール
平岡史衣(ひらおかふみえ)
『アンコールプロダクション』代表
看護師
介護予防ダンストレーナー
神戸大学出身
整形外科病棟で看護師としてキャリアスタート
病気が治っても前進する気持ちが湧かない、リハビリに向かう気持ちがわかないというおじいさん・おばあさんが一定数いることに気づく。
「生きがい」を持っていないことがその原因と考え、
生きがいを持って欲しい、持つことを応援したいと思い、活動をはじめる。
まず、自分にできることをしようと実際に町中でおじいさん・おばあさんに声をかけてインタビューする活動を開始
現在も時間が空いたときには街中の高齢者に声をかけるために外出している。
活動の原点
Poly:
生きがい応援ナースの由来を教えて下さい
ふうみん(敬称略):
最近まで病棟の看護師として正社員で勤務していました。
手術後の患者さんや、術前の患者さんのサポートを行う仕事です。
その中で、「重い病気ではないけれどリハビリに向かう気持ちが湧かない」、「元気になってもしょうがない」というおじいちゃん・おばあちゃんが多かったんです。
そこから生きがいを持って欲しいなと思い、活動を開始しました。
Poly:
SNSなどでは、おじいちゃん・おばあちゃんに逆ナンしているという投稿を見かけたのですが、そのキッカケは何なんでしょうか?
ふうみん:
生きがいを応援したいと思って、まず私にできることは何だろうと考えた時に、おじいちゃん・おばあちゃんと話すことが好きだったので、町中で声かけてみたらいいんじゃないかなと思いました。
Poly:
すごい行動力!
おじいちゃん・おばあちゃんが好きなのは昔からですか?
ふうみん:
そうですね〜
おばあちゃん子でずっと一緒に住んでいたんです。
小3くらいの時におじいちゃんが亡くなってしまいました。
起業したり、色々変わったことをしてるおじいちゃんだったので、面白いな〜もっと話を聞きたかったなという後悔がありました。
そこから、その人の生きてきた歴史とかを知るのが面白いなと感じるようになりました。
Poly:
声をかけて、その人となりの話をするんですね。
ふうみん:
そうですね、「どうゆう人生を歩んできたか」「生きがい」について聞いたり、「若い人にアドバイスないですか?」とか意見を聞いて、それをInstagramにあげています。
Poly:
病棟の中で出会ったおじいちゃん・おばあちゃんは生きがいがないという人が多かったということですが、街中のナンパで出会った方々との差はありましたか?
ふうみん:
病院なので、病気を持っているからというのもあるかもしれませんが、病院の中の方が「生きがいがない」と答える人が多かったように感じます。
ただ、ナンパ活動をしている中でも「生きがいがない」と答える方は多いですね。
全体的におじいちゃん・おばあちゃんになるにつれて、生きる目標を持つことが難しくなってくるのかなと感じています。
Poly:
年齢を重ねて様々なことを経験し「じゃあ次に何をしよう」ということがない・・・ということなんでしょうか?
ふうみん:
それも理由の一つだと思いますが、ずっと働いていた方は毎日やることがあった。
毎日仕事があった。
急に仕事がなくなって、目標がなくなる。
それで生きがいがないという状態になるのかなと
おじいちゃん・おばあちゃんナンパの技術
Poly:
生きがい応援ナースと名乗ってるので、ナンパのモチベーションはわかるんですけど、声をかけて辛い思いをされたりすることはなかったですか?
コミュニケーション苦手な人とか
ふうみん:
写真は駄目という方はいらっしゃいますね
そういう方はお話するだけとか
Poly:
SNSに上げられてる方はごく一部で、実際はさらに多くの方に声をかけられてるということですね
ふうみん:
そうですね
会話の内容も気にしています。
たまにミスって、「博多でいい場所とかありますかね」とか聞いてしまうと、気を利かせて案内所へ連れてってくれたり笑
Poly:
「普通に道聞かれてるんや〜」みたいに捉えられて笑
その人のことを知るための質問を組んでるんですよね
目標はその人についてについて知ることなので
ふうみん:
普通やったら出会えない人と出会えるのが面白いので笑
様々な場所にふらっと出向いています。
国内だと、今行ってみたいのは北海道です。
Poly:
牧場持ってるねんみたいなおじいちゃん・おばあちゃんが居そうですね
ふうみん:
そうですね笑
知り合いに90歳で漁師をやっておられるおじいちゃんが一人いまして
Poly:
90歳で漁師、体力がすごいですね。。。
プロダクションを作りたい!!そのキッカケ
Poly:
5月末、クラウドファンディングで見事目標金額を達成されました。
内容は「日本を救う!おじいちゃん・おばあちゃんが活き活きと踊り出すオリジナルPVを作る」というプロジェクトです。
アンコールプロダクションというのは、おじいちゃん・おばあちゃんが所属するプロダクションということですが、この構想はナンパを経て思いついたものなんでしょうか?
ふうみん:
そうですね
インタビュー活動を通じて、生きがいについて考えたことと
ずっとダンスをしていたので、介護予防ダンスをしたり、施設に伺うことも多くなりました。
そのときはとても喜んでくれるし、「また来てや」とか言ってもらえるんですけど、持続しない
おじいちゃん・おばあちゃんがもっと輝けるようにできたらいいなと考えました。
プロダクションという形で、それぞれの個性や特技、趣味を活かして輝いていければ「生きがい」を持つことにつながるのではのではと思いました。
Poly:
場を提供することで、コマーシャル(CM)に呼ばれるおじいちゃん・おばあちゃんがいるかもしれないということですよね。
ふうみん:
こんな自分になりたいとか、自己実現を応援できたら、と思っています。
おじいちゃん・おばあちゃんって結構社会から離れていて、孤独な人が多いみたいなんです。
社会的にに自分の役割を感じにくい。
再び社会と接点を持つことで「自分にもこんな役割があったんだ」と自分の役割を再認識できるというだけで生きがいにつながると思うんです
Poly:
実際に娘/息子も独立して、お孫さんも生まれて
時々来てくれるお孫さんの面倒を見たり、親戚、家族内での役割はあっても、じゃあ社会から見た時にと考えると活躍の場は少なかったりするかもですね
ふうみん:
そうですね。
「もう年を取ってしまったし挑戦はできない」
と自分で決めつけてしまってる方も多い
若い人側からしても、おじいちゃん・おばあちゃんと関わり、おじいちゃん・おばあちゃんが輝いている姿を見ることで若い人も将来に希望が持てるような循環ができるといいなと思います。
クラウドファンディングについて振り返る
Poly:
このようなプロダクションを立てようというような計画は、いつごろから思い始めたんですか
ふうみん:
今年の1月くらいですね
Poly:
今年の1月ですか!?
ふうみん:
ただ、想定していたスピード感よりとても遅いと思いますね。
Poly:
描いてたスピード感でいうとどんなイメージだったのでしょう?
ふうみん:
4月末にはクラウドファンディングが終わってという予定でした。
退職の時期や、クラウドファンディングも少し躊躇したのがあって、5月末で終わりになりました。
Poly:
クラウドファンディングを行うにあたって躊躇したのはどうゆう点でしょう?
ふうみん:
クラウドファンディングに挑戦するに当たって、結構覚悟が必要で…
人からお金を頂くということで、ちゃんとした覚悟がないと申し訳ないというか絶対実現しないといけないし。
その意思を固めるまでに躊躇した期間はありました。
フリーの方や医療職でも変わった働き方をしてる方、周りの人に相談しまくりました。
取り巻く環境の変化〜点と点がつながる〜
Poly:
プロダクションを立ち上げるために、病院を退職し、独立されたと伺いました。
ふうみん:
はい、今年の5月末に退職しました。
Poly:
周りからどのような反応を受けましたか。
ふうみん:
家族からしたら、せっかく病院に就職したし、安定した職についていくのがいいんちゃう。。。
という反応でしたね
自分がしたいことをちゃんと伝えて、「頑張るから」と言って納得してもらいました。
Poly:
それまでは副業で活動をされていたのでしょうか?
ふうみん:
夜勤の前や後にデイサービスに行って、介護予防ダンスを踊ったりしていました
おじいちゃん・おばあちゃんが好きな上を向いて歩こうや東京ブギウギとかに振り付けをつけて踊っています。
Poly:
ダンスを創作するのは昔からやってたんですか?
ふうみん:
ダンスは、昔からクラシックバレエやってました。
中高が創作ダンス部、大学が社交ダンス部、アイドル活動とかもやってました。アイドルは高校の時からハマったんですけど、高校の時から振り付けとか教えたりして、文化祭でアイドルステージ作るとかやってました。
大学のサークルとかも10個くらい入ってました笑
社交ダンス、アイドル研究、旅サークル、フラッシュモブ、救命救急、小児ボランティア、服飾、阿波おどり…
Poly:
色々な活動をされてて、実際に行ってる行動が繋がっていってる
そこでの活動が、夢を実現するために活きてるってことですね。人生何があるかわからないですね笑
フラッシュモブとかもこれから活きてきそうですよね
ふうみん:
実際東京でやったことあるんです
やっちゃばマルシェ市場で
おじいちゃん・おばあちゃん巻き込んでやろ〜
と思ったんですけど、ノッてくれたんですが踊るまではいかなくて
Poly:
確かに踊るまでというのは難しそうですね
動きも覚えないとですし
プロダクションではどのように考えているのですか?
ふうみん:
大阪では定期的に練習をする予定です。
PVを作成するので9月に曲が完成、10月にPV撮影を行います。
Poly:
やはり練習が必要ですよね
ふうみん:
大阪でプロモーションビデオ(PV)を作って、全国に広めていきたいです。
大阪版をまず製作し、その後に、地方に踊りを広げていく
元気なおじいちゃん・おばあちゃんを発掘していく
その方たちをYouTubeで紹介していく
タレントさんが増えてきたらイベントとか、元気なおじいちゃん・おばあちゃんの講演会とかを開けるといいなと思っています。
そこで、おじいちゃん・おばあちゃんが、本当にタレントさんとして呼ばれるようにしたいです
Poly:
PVは地方版も作っていくということでしょうか?
ふうみん:
AKBの恋するフォーチュンクッキーとかのような広まり方のイメージですね
Poly:
会社のメンバーで作ったりとかが流行りましたね
踊ってる姿とか、離れたところに住んでるご家族さんが見たりすることを考えると安心できますね!
さらにおじいちゃん・おばあちゃんにとっては、新しい機会や役割が見つかる。
ふうみん:
東京に住んでいるおじいちゃんが大阪にちょくちょくでてきて、「人生変わり始めたわ」とか言ってくれたりするんです
そのおじいちゃんも奥さんを亡くして、「自分も84歳やし家にいるだけで毎日ひま」と気持ちが沈んでいた時期らしく、そんな時に自分にも新しい役割があるんじゃないかと思ってもらえたみたいで。
そんな人が1人でも増えたらいいなと思っています。
介護業界をこれから目指す人、介護に関わる人へ
ふうみん:
おじいちゃん・おばあちゃんっていうと馴染みがないというか、福祉業界に関わったことないし、マイナスなイメージを持つ人は多いと思います。
結局、将来的には自分たちもおじいちゃん・おばあちゃんになるわけで、自分たちの未来と向き合ってると思って、もっと身近に感じてもらえればいいと思います。
「生きがい」って複雑で、人間って繊細です。
自由に生きたいと思う反面、社会に属していたいという欲求もある。、自分にとっての生きがいを見つけるのはなかなか難しいと思うんですけど、それさえ見つければそこに向かうだけなので、見つけられたらいいなと思います。
Poly:
僕たち20〜30歳くらいの年代から、生きがいについて考え始めて、考え慣れというか、感度を高めることは必要かもしれないです。
今回りにいるおじいちゃん・おばあちゃんについて一瞬立ち止まって考えてみてもらえるといいかもしれないですね。
まとめ
ふうみんさんの活動のキッカケとこの先の活動についてお話頂きました。
このインタビューを通じて、様々なことに関心を持ち、打ち込む、動き続けるということが、周りを巻き込むチカラになるというのがインタビューを通じて得た教訓です。
この記事が「生きがい」という壮大なテーマについて、自分の周りの人やご家族と話をしてみるキッカケになればいいなと思います。
それでは次回のインタビューもまたお楽しみください!
関連リンク
アンコールプロダクション
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