「事業所スタッフ全員で情報を共有したい」
「スタッフ同士の連携をもっと円滑に行いたい」
「メールだと反応が薄くて伝わったのかどうかわかりづらい」
在宅介護サービスを提供する事業所では情報共有とスタッフ同士の連携が重要ですよね。
ですが電話やメールは効率が悪く、連絡事項を全員が周知しているのか不安になってしまいます。
そこで今回は、効率よく情報共有ができるビジネスチャットについてご紹介します。
合わせて実際に導入された訪問看護ステーションの意見もご紹介しますので、ご参考ください。
在宅介護サービス事業所で起こる問題
訪問介護、訪問看護、訪問リハビリなどの在宅介護サービスを提供する事業所では、利用者様のお宅に伺って仕事をするため、スタッフ同士が直接顔を合わせてコミュニケーションを図る時間が限られてしまいます。
また直行直帰可能な事業所や非常勤スタッフが多く在籍している事業所では、柔軟な働き方に対応できる一方で、各スタッフの勤務時間や出勤日も異なってきてしまいます。
「そういえば○○さんとしばらく顔合わせてないな・・・」
なんてことも珍しくありません。
お互いに顔を合わす機会の少ない訪問系の在宅介護サービスの事業所ではどのようにすればスタッフ間のコミュニケーションを円滑にとることができるでしょうか?
そこでご紹介するのが、ビジネスチャットです。
ビジネスチャットって何?普段使っているチャットツールとの違いは?
皆さんはビジネスチャットというものをご存知ですか?
ビジネスチャットとは、皆さんがよく知っているLINEなどのチャットツールをビジネス用として使いやすくしたもので、これらを使用し情報共有や業務連絡を行う企業が増えています。
社外の企業とも業務にまつわる連絡をとることができ、在宅介護サービスの現場でも効率よく情報共有ができるようになります。
ビジネスチャットを活用するメリット
無料で使用できるビジネスチャットには
Slack(スラック)
Chatwork(チャットワーク)
LINE WORKS(ラインワークス)
などがあります。
上述した3つのツールは、会社規模や人数によって有料プランにアップグレードする必要があります。
ビジネスチャットは管理者にとって便利な機能が付与されています。
例えば、アカウントやグループメンバーの管理、投稿の権限に関する設定、退職者の取り扱いなど、連絡を取り合う以外の管理系の機能も提供されています。
また、スマートフォンやタブレットでも使用することができるので、出先からでもメッセージや資料を送ることができます。
ビジネスチャットを導入することで、スタッフ同士が顔を合わせる機会が少なくても情報共有がスムーズに行えるようになります。
ビジネスチャットを導入する上での注意点と対策
ITリテラシーには個人差があり、苦手意識がある人はうまく使いこなせない場合があります。
また気軽にメッセージが送れる反面、メッセージのやりとりを負担に感じてしまう人もいます。
導入する際の注意点としては、
- 定期的に使用状況を確認する管理者を決める
- 簡単なやりとりから徐々に慣れていってもらう
- わからないことがあれば気軽に相談してもらう
- 大事な連絡があるかもしれないのでこまめなチェックを呼びかける
など一人一人に浸透するまで慣れたスタッフがフォローをする必要があります。
訪問看護ステーションでビジネスチャットを導入した事例
訪問看護ステーションAでは半年前からビジネスチャットを導入しています。
ビジネスチャット運用担当のYさんに実際にどのように業務に活用しているのか聞いてみました。
Poly:
ビジネスチャットを導入したきっかけを教えてください。
Yさん:
きっかけは災害で被災した地域の訪問看護ステーションが開いた勉強会に参加したことです。
訪問看護として災害時に「どのような対応をするか」という事を実際の事例と交えて学びました。
その中で被災直後の連絡にビジネスチャットを活用したことで、速やかにスタッフの安否確認がとれ、次の行動に移せたという話を聞きました。
私が所属する事業所ではスタッフの間の連絡方法は電話やショートメールが主体でした。
その方法では災害時に繋がらなくなる恐れがあり、安否確認に時間がかかってしまいます。災害時を想定すると事業所内でのビジネスチャットの導入は非常に有効だと再度提案したのです。
するとすんなりと導入が決まりました。
Poly:
訪問看護ではビジネスチャットをどのように活用していますか?
Yさん:
緊急時は電話、それ以外はビジネスチャットと使い分けができるようになりました。
これまで全員に伝えたい連絡事項は朝の申し送りで伝えたり、掲示・回覧板を回して伝達していました。
しかし、それらの方法ではその場にいないスタッフには伝わりません。
回覧板が回りきるまでには時間がかかりますし、掲示物を見ていないといったこともよく起こっていました。
そういった問題には一斉送信機能で解決することができました。
全スタッフに一瞬で連絡事項を伝えることができるのでとても楽です。
もちろん対面で直接伝えたほうが良い場合もありますので、そこはうまく使い分けをしながら活用しています。
訪問看護ステーションでは看護師同士の連携はもちろんのこと、看護師とリハビリ職の他職種連携が欠かせません。
ビジネスチャットでは用途によってグループごとに会話をすることができるので、効率よく連絡や情報共有ができます。
例えば
- 看護師用
- リハビリ職用
- ○○様担当者
- 全体連絡用
- 勉強会のお知らせ
といったように色々と使い分けて情報共有を行っています。
話した内容が履歴に残るので、経過なども追いやすく後で確認しやすいのもいいですね。
画像送信機能も活用しています。
看護師は複数人で担当していることが多く、傷や褥瘡(じょくそう)などのスキントラブルの状態を画像で担当者に送ることで状態を共有することができます。
その他ケアの手順や認知症がある利用者様の薬の置き場所などを画像にして共有したりしています。
看護師とリハビリ職の連携もとりやすくなりました。
ある時、理学療法士が訪問した際に、利用者様の足にできた発疹(はっしん)に気づいたんです。
写真を撮りその場で担当看護師に報告しました。
その画像をみた担当看護師は帯状疱疹(たいじょうぼうしん)の疑いがあると判断して、すぐに在宅医に連絡をとり治療につなげることができました。
リハビリ職が異常を発見することも少なくありません。
看護師に画像をつけてすぐ報告、指示を仰ぐことができるので連携をとりやすくなりました。
その他は紙の資料や書類を画像で記録し共有しています。
看護記録、医師の診療記録、ケアマネジャーからの資料なども画像として情報共有すれば、いつでも確認することができます。
個人情報になりますので取り扱いには十分注意しながら行っています。
Poly:
実際にビジネスチャットを使用してみて気になる点はありますか?
Yさん:
目新しいITツールに対して苦手意識がある人はどうしてもいます。
既読がつかないので本人に確認すると、スマホを変えたら使えなくなってしまったとか、慣れているショートメールや電話をついつい使ってしまうなんてこともありましたね(笑)
反対にITリテラシーの高い人や好奇心旺盛な人、同じような問題意識をもっている人なんかは率先して使ってくれるので、使いこなせているスタッフを巻き込んで意見をもらいながら、運用方法を検討したり苦手な人へのフォローを一緒に行ってもらっています。
まとめ
介護業界は一般企業に比べてIT化が遅れています。
今だにFAXや電話を主な連絡手段として多用している事業所も少なくありません。
管理者にとって、スタッフの連絡手段を統一できるというのは、業務の効率化を図る上でも重要ではないでしょうか。
ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールを活用することで、スタッフ同士でも効率よく情報共有が可能になります。
また、災害時などの緊急を要する連絡を入れる際にも、スタッフの安否確認から次の行動への指示まで速やかに行うことができます。
新しいもの便利なものは積極的に取り入れて、社内の業務改善を図り、より良いサービスを提供できる事業所を目指しましょう。