よく、便りがないのは元気な証拠!と言いますが、高齢の親の場合はあてはまりません。
子どもに余計な心配をかけてはいけないと考えている親は、些細な不調ぐらいなら子どもに知らせる必要はないだろうと考えます。
・実は熱を出していた
・転んで怪我をしていた
・車で軽い接触事故を起こしていた
などの出来事をかなり時間が経過してから聞くことになる場合もあります。
「もう治ったから大丈夫!」
「解決したから心配ない!」
と親は言うかもしれません。
しかし、そんな変化の中に大きな異常が潜んでいることもあります。
高齢の親をもつ子どもにとって大切なことは「あれ?いつもと様子が違うぞ?」という小さな変化にいかに早く気づくことができるかです。
同居をしていなくてもちょっとしたポイントを意識してコミュニケーションをとることで、遠い場所に住む親の変化にも気づくことができます。
親の体調不良や異常を早期に発見することは、介護予防にもつながります。
今回は高齢の親を持つ家族が知っておきたいコミュニケーションの取り方や観察のポイントについてお伝えします。
さまざまなものを活用して、連絡の頻度を増やす
電話や手紙に加えて、メールやLINEなどのコミュニケーションツールも活用してみましょう。
スマホやタブレットに苦手意識を持っている高齢者は多いですが、食わず嫌いなだけで案外使いこなせるかもしれません。
新しいことに挑戦するということは脳が活性化され、子どもや孫が使い方を教えることでコミュニケーションも生まれます。
LINEなど既読がわかるチャットツールを利用すれば、返信はできなくても安否確認になります。
親と兄弟でグループLINEを作って、写真を送り合うのも良いですね。
ビデオ通話なども活用してみましょう。
決まった時間、曜日に連絡してもらう
認知症の初期症状として見当識障害という症状があります。
今日が何月何日何曜日なのかということが正確に把握できなくなるのです。
例えば、「毎週土曜日の朝10時頃に親から電話をかけてもらう」というように決まった曜日や時間で連絡してもらうことで、日時や曜日の認識にズレがないか?という確認にもなります。
電話のかけ方にちょっとしたルールを加えることで変化に気づきやすくなります。
生活習慣の変化は雑談から
さり気ない雑談の内容から生活の変化を読み取ることも大切です。
・趣味や仕事は継続できているか
・友人と会っているか、他者との関りはあるか
・外出はしているか
・最近起こった大きなニュースを把握しているか
特に長く続けていた趣味や習慣を辞めてしまった時は要注意です。
好きなことが継続できないくらいの心身の不調が隠れてることがあるからです。
例えば、
・新聞を毎朝読む習慣があったのに大きなニュースを把握していない
・長く続けていたクラブや教室をやめてしまった
・家庭菜園の野菜作りやガーデニングをやめてしまった
などです。
こういったことが起こった場合はさりげなく「なぜ辞めてしまったのか?」を掘り下げて聞いてみることが重要です。
親の習慣が以前と比べて変化していないかを把握することはとても大切なことです。
帰省は観察のチャンス
帰省は観察のチャンスです。
久しぶりに訪れるからこそ変化に気づきやすいからです。
・冷蔵庫の中に賞味期限切れのものが多く入っていないか
・同じものをいくつも重複して購入していないか
・以前は掃除が行き届いていたのに部屋が散らかっている
・ごみが溜まっていないか
・服装、化粧、髭、入れ歯、ヘアースタイルを気にしなくなっている
・日中ウトウトしていることが多い
・おしゃべりな親があまりしゃべらない
気になる行動がみられたら、兄弟や協力してくれる親戚同士で情報共有をしましょう。
兄弟や親戚に頼れない場合は、親が住む地域の包括支援センターに相談してみてください。
兄弟や親戚、時には制度を使ってサービスを利用し、見守る目を増やすことが大切です。
親の希望は元気なうちにしか聞けない
もしも介護が必要になった時に親はどうしたいのか?という希望を聞いておくのはとても重要です。
「元気なうちからそんな話はしにくい!」
と思うかもしれません。
しかし、本人の希望は心身ともに元気で判断力があるうちにしか聞けないのです。
いざ病気になり意思疎通が取れなくなってしまったら、親がどう思っていたのかを知ることはできなくなってしまいます。
そうなるとあらゆる決定権は家族にゆだねられることになります。
「本当はどう思っているんだろう?」
「自分たちで決めてしまったけれど、これでよかったのだろうか?」
と常に迷いながら対応していくことになります。
元気なうちに希望を聞いておけば、家族が選択を迫られた時の助けになるでしょう。
・介護が必要な状態になったらどうしたいのか?
・地元を離れても大丈夫か?なるべく地元で過ごしたいか?
・施設に入ることに対する考え
・看取りの場所
・延命治療の有無
テーブルを囲んで深刻に話すというより、雑談のなかでさりげなく聞き出す工夫をしてみましょう。
有名人の訃報に便乗する形で切り出してみたり、ニュースやテレビで終活にまつわる話題が出ていたりする時にさりげなく考えを聞いてみるものよいかもしれません。
もちろん子どもには子どもの生活があるので、すべて親の希望を鵜呑みにする必要はありません。
親の介護のために子どもの生活が破綻してしまっては本末転倒です。
介護や終活についての話題をタブー視せず、普段からお互いの価値観を知り、すり合わせておくことが大切なのです。
まとめ
今回は、高齢の親を持つ家族が知っておきたいコミュニケーションの取り方や観察のポイントについてお伝えしました。
連絡方法を工夫したり、行動や会話の内容を注意深く観察することで、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。
介護予防という観点からも早期発見は重要です。ぜひ参考にしてみてください。