「まだまだ現役!なんの問題もない」
「不自由なく生活しているから身体を壊すはずがない」
「介護を受けている自分の姿が想像できない」
健康な状態で日常生活を過ごしている人にとって、自分が介護される姿など想像もつきませんよね。
しかし、介護が突然必要になる可能性は十分にありえます。
そこで今回は、元気なうちから始める介護予防、自立した老後を過ごすための「よい習慣をつくるコツ」をご紹介します。
健康なまま歳を重ねていくためにも、介護予防は元気なうちからはじめる「習慣」が大切です。
日本人の「平均寿命」と「健康寿命」
2020年7月に厚生労働省が発表した日本の平均寿命は、男性で「81.41歳」。女性だと「87.45歳」です。
世界でも上位の平均寿命であり、男性は世界3位、女性は世界2位と世界有数の長寿国ということがわかります。
また、2016年に発表された統計によると、介護を受けたり、寝たきりになったりせずに生活できる健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳となっています。
長寿大国日本が抱える大きな課題は、この平均寿命と健康寿命の差を少なくすること。
「死ぬまで元気、ピンピンころり」なんていう言葉があるように、誰しも介護を受ける期間はできるだけ短く、健康で長生きをしたいものです。
介護状態になる主な原因
介護状態になってしまう主な原因は以下の通りです。
1位「認知症」18.7%
※平成30年度版高齢社会白書より
2位「脳血管疾患(脳卒中)」15.1%
3位「高齢による衰弱」13.8%、
4位「骨折・転倒」12.5%
認知症は加齢とともに誰にでも起こりうる症状です。しかし、食事や運動、他者との交流などにより脳や体に刺激を与えることで予防につながります。
脳血管障害の予防には食事や運動、血圧のコントロール、たばこや過度の飲酒を控えることが大切だとされています。
転倒による骨折や加齢による筋力低下を予防するには、骨、筋肉、関節などの運動器の健康が大切になってきます。
つまり、毎日の生活習慣にうまく運動を取り入れることができれば、将来の介護予防につなげることができるのです。
毎日の習慣が心と体の健康を維持してくれる
習慣とは、毎日、もしくは頻回に繰り返されている行動のことをいいます。
私達の行動の45%は習慣で成り立っているそうです。
仕事を退職した後、緊張の糸が切れたように体調を崩してしまった…なんて話を聞いたことはないでしょうか?
それは仕事に行くという毎日の習慣がなくなってしまったことが大きく影響しています。
仕事の中にはたくさんの活動が含まれています。
社内を歩き回ったり、書類を作るために考えたり、人と話をしたり。
当たり前のようにこなしていたことが、実は頭にも体にもたくさんの刺激を与えてくれているのです。
ですから、毎日の習慣がなくなってしまうと心身ともに調子を崩してしまいがちになります。
仕事を辞めたら何もすることがなくなってしまった…
そうならないよう、普段から色んな習慣を持つようにしてみましょう。
運動習慣をつけるコツ
そこで、運動習慣をつけるための簡単なコツをご紹介します。一つひとつは小さなことでも、日頃から心がけておくことが大切です。
公共交通機関に慣れておく
電車やバスを使わず車での移動が中心だった人が高齢になり、運転免許証を返納した途端に家に引きこもりになってしまった…という話をよく耳にします。
著者の住む地域でも高齢者ドライバーは少なくありません。
たしかに車は自分のペースで移動できてとても便利ですが、認知機能や健康に問題が起これば運転は難しくなってしまいます。
元気なうちから自宅周辺のバスや電車などの公共交通機関を利用して出かける習慣をつくっておきましょう。
いろんな移動手段に慣れておくことが大切です。
普段の日常生活に運動要素を取り込む
運動といえば時間を作ってランニングやウォーキングを想像するかもしれませんが、なかなか長続きしないという人もいるでしょう。
そこで、日常生活に運動要素をとりいれることをおすすめします。
たとえば、
- エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う
- 一駅分歩いてから電車に乗る
- 近所のスーパーに行くときは歩いていくようにする
いつもの生活に少しルールを作るだけでも運動量が増えます。
さらに、万歩計や活動計をつけて生活をすると、運動量が目に見えるため目標設定がしやすく、よい動機付けになります。
楽しみやご褒美を組み合わせる
著者の知り合いに、週に3回、自宅から少し離れた距離にある喫茶店に美味しいモーニングを食べに行く人がいます。
30分ほど歩いて喫茶店に行き、美味しいコーヒーと焼きたてのパンを食べて、常連さんとおしゃべりをした後、また30分歩いて自宅に帰るそうです。
このように運動と楽しみをうまく組み合わることで、継続しやすくなります。
小さな習慣からはじめてみる
自制心を持って運動習慣を継続できる人はすばらしいですが、大多数はやったほうが良いと分かっていても手が出せなかったり、なかなか続かなかったりするものです。
まずは、小さな目標を立てて実行することから始めてみましょう。
たとえば、以下のように簡単に取り組めるもの。
- 毎朝新聞を取りに行くついでに近所を5分だけ歩いてみる
- 毎朝5分、テレビを見て一緒に体操をする
- 1分だけスクワットをする
このくらいゆるいルールでかまいません。
少しでも「やってみる」「続けてみる」ことが大切です。
継続していくうちに脳がその行動に慣れていき、徐々に習慣化されていきます。
趣味を持とう!探求心、好奇心を忘れずに
高齢になっても、好奇心が旺盛な人はとても元気です。
趣味を持つことで心が豊かになるからです。
しかし、何をすればいいかわからない…という人も多いのではないでしょうか?
新しい趣味が見つけられない場合は、以下の2つを思い出してみてください。
- 若い時にやろうと思っていたけどあきらめたことは?
- 子供の頃に好きだったことは?
新しい事を始めると脳がより活性化するそうです。
年齢的に無理だろうと決めつけず、素直に自分の心にきいてみましょう。
今は大人向けの習い事や教室も増えています。
趣味を通して人との交流も生まれますので、好奇心旺盛に趣味を持つようにしてみましょう。
元気なうちから運動習慣をつけておきましょう!
今回は元気なうちからはじめる介護予防についてご紹介しました。
運動習慣をもつことはとても大切です。
時間を作れない、長続きしない、続ける自信がないという人は、日常生活に運動要素を取り入れてみてください。
いきなり大きな目標を決めてもすぐに辞めてしまっては意味がありません。
無理なくこなせるくらいの小さな目標を立てて、習慣にしていくことからはじめてみましょう。