【疑問解消】介護にかかる費用は?在宅と施設の違いや活用できる制度を紹介!

【疑問解消】介護にかかる費用は?在宅と施設の違いや活用できる制度を紹介!

「介護にはどのくらい費用がかかるのだろう?」
「今の蓄えで大丈夫なのだろうか?」

家族や親族が介護状態になったことを考えたとき、「費用面」を一番に気にする人も多いはずです。たとえ概算であっても、介護にかかる費用を把握できていれば、突然の事態にも慌てずに済むはずです。

そこで今回の記事では、介護にかかる費用と心構え、知って得する公的制度をご紹介します。介護費用に関する疑問や不安を抱えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

介護費用の考え方と心構え

はじめに、介護にかかる費用は受けるサービスによって異なります。どのような介護サービスが必要かは身体の状態や環境、本人・家族の考え次第です。症状が進んで意思の疎通がとれなくなってからでは迷ってしまうことも多くなるため、どのような介護サービスを受けるのかをしっかり話し合っておきましょう。

本人と確認しておきたい内容は以下の5つ。

  • 看取りを視野に入れて在宅介護を選択するか?
  • 1人暮らしであれば施設介護を受けるか?
  • 可能な限り在宅介護を選択しトイレに行けなくなったら施設入所に変更
  • いくらまでなら費用をかけられるか?
  • 親の蓄えと年金などの収入がどのくらいあるのか?

雑談の中でさりげなく介護に関する親の考えや蓄え、年金の収入額などを聞いてみるとよいでしょう。

介護にかかる費用は?在宅介護と施設介護を比較

介護にかかる費用は?在宅介護と施設介護を比較

親の介護にかかる費用は「親のお金でまかなう」のが基本です。
平成30年の生命保険に関する全国実態調査によると

  • 介護期間の平均は54.5カ月(4年7カ月)
  • 介護用の住宅改修や介護用品の購入などの一時的な費用が69万円
  • 月額平均だと「7万8,000円」の負担

というデータが出ています。ただし、在宅介護と施設介護では介護にかかる費用は異なります。

在宅介護の場合

介護保険を利用した介護サービスの費用は平均で「月額1万6千円」。ただし、要介護度が高くになるにつれて支出額も高くなります。おむつや医療費など介護サービス以外の費用は、全体平均で「月3万4千円」。

両者をあわせた在宅介護にかかる1ヵ月あたりの費用の合計は全体平均で「約5万円」となっています。(2016年 家計経済研究所より )

施設介護の場合

選択する施設の種類、提供されるサービスや入居一時金を支払うかによってばらつきがみられます。そのため、相場は「月額15~35万円」と価格差があります。

介護にかけられる費用を試算してみよう

介護費用を試算

日本は平均寿命が高くなってきているので、余裕をもって100歳~105歳まで生きると仮定して計画を立てましょう。

「貯蓄 ÷(100 – 年齢)+(年金1年分 – 1年分の予備費)=1年間に使えるお金」

1500万円の貯蓄、月に15万円の年金をもらっている85歳の女性Aさんが100歳まで生きると仮定して計算してみると…(※予備費を年間20万円としています)

「1500÷15+(180(年金12ヶ月分)- 20(予備費))=260万円 」

Bさんが100歳まで生活する場合、単純計算で生活費と介護費は1ヶ月に「約21万円」は使用できます。

知っておきたい公的制度

知っておくと便利な公的制度。条件に当てはまる場合は、2つの公的制度を活用しましょう。

高額介護サービス費

介護保険サービスを利用したときに、自己負担の合計額が一定の上限を超えたときに申請をすると上限額に応じて払い戻しされます。

高額療養費制度

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が一定の上限額を超えた場合、申請するとその超えた額が支給されます。

高額介護サービス費、高額療養費制度の上限額は年齢や所得に応じて上限が異なります。まずは各市町村の役所で確認をしてみてください。

同居する場合は要確認!住民税非課税世帯

同居する場合は要確認!住民税非課税世帯

住民税非課税世帯とは、1つの世帯を構成する全員の所得が一定額よりも低い世帯が「住民税が課税されない世帯」になることです。1人世帯で年収155万円以下、夫婦2人世帯で夫が妻を扶養する場合は年収211万円以下の世帯が対象となります。

すなわち、親の所得が非課税世帯にあたる場合は、同居している場合でも別世帯として登録しておく方がメリットがあります。非課税世帯の場合は、先述した高額介護サービス費、高額療養費制度の上限限度額が安くなります。

ただし、親世帯の収入が現役並みに多い場合は負担額が多くなります。まずは、各市町村に確認をしましょう。

遠距離介護なら知っておきたい割引制度

遠距離介護の場合は、交通費も介護費用に含めることができます。一部の航空会社では介護帰省割引があるので利用しましょう。また、JRなどは割引率が高くなる会員サービスがあります。下記を参考にしてみてください。

  • 日本航空(JAL)介護帰省割引
  • 全日空(ANA)介護割引
  • 大人の休日倶楽部(JR東日本)
  • ジパング倶楽部(JR西日本)
  • エキスプレス予約(東海道新幹線、山陽新幹線)

親に代わって金銭管理をする時の注意点

親に代わって金銭管理をする時の注意点

原則として、預貯金口座からお金を引き出せるのは名義人本人のみです。親の銀行口座を管理する場合は注意しましょう。

最近は高齢者を狙った振り込め詐欺の影響もあり、銀行の対応が厳しくなってきています。窓口で「本人が認知症で…」と話してしまった場合、お金を引き出せなくなってしまうケースが多発しています。また、引き出しに関しては本人の委任状があれば対応してくれますが、本人が意思の疎通もとれず、署名もできない状態だと銀行側も対応が困難になってしまうのです。事前にキャッシュカードと暗証番号を聞いておきましょう。

成年後見制度

成年後見制度とは、判断能力が不十分な本人に変わって後見人等を選任する制度です。成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります

法定後見制度

法定後見制度とは、認知症などによって判断能力が不十分な方に対して、財産の管理など本人の権利を法律的に支援、保護するための制度です。

家庭裁判所に申し立てをする必要があり、家族が選任される場合と司法書士や弁護士などの専門家が選任されるケースがあります。

誰が後見人になるかは裁判所が決めるため、家族が後見人になることを希望していても認められない場合があります。家族の不正を防ぐために専門家が選任されることも少なくありません。

任意後見制度

任意後見制度は、本人が元気なうちに後見人を決めておくことです。本人の意思が尊重されるため、信頼できる家族や親しい友人であっても後見人になることができます。

まずは、財産管理など任せたいことを公正証書で契約。本人の代理として任意後見人が不正なく管理できているかを確認するため、家庭裁判所から任意後見監督人が決定されます。
ただし、後見人や後見監督人に専門家が選ばれると月額2~5万円の報酬が発生します。

いざという時に慌てないために!親が元気なうちにお願いしておきたいこと

親が元気なうちにお願いしておきたいこと

以下のことを普段から決めておくとスムーズです。
もしものときは誰に財産の管理をしてもらうか話し合っておく
複数の銀行で口座を作っている場合は、1つの銀行に預貯金をまとめてもらう
定期預金を解約しを普通預金にしてもらう
通帳やキャッシュカード保管場所、暗証番号を事前に知らせてもらう
介護に関する希望やもしもの時の延命治療の有無、金銭管理についての大切な情報などをノートにまとめておく

介護にかかる費用は抑えられる!情報収集をして備えておきましょう

介護費用について心構えや活用できる公的制度をご紹介しました。
元気なうちから介護やお金の話をすることにためらいを感じることもありますが、いざという時に慌てないためにも、普段の雑談のなかでこまめに情報収集をしておきましょう。ただし、決して無理に暗証番号を聞き出すようなことはしないてください。いきなりお金の話を切り出すのではなく、介護が必要な状態になってもより快適な環境で過ごしてもらいたいということを本人に伝えた上で一緒に考えていくことが大切です。