ピンピンコロリという言葉がありますが、誰もが天寿を全うする直前まで自分の事は自分でできるように健康で長生きしたいものです。
昭和から平成へと元号が変わった1990年代、テレビで一躍有名になった双子の女性がいました。100歳の双子「きんさん ぎんさん」です。
少子高齢化が徐々に問題視され始めていましたが、可愛らしくユーモアのあるきんさんとぎんさんは「老い」に対してポジティブなイメージを与えてくれた先駆け的存在でした。
「人生60年」などといわれていた時代から考えると、現代は100歳を超える方が多くなってきています。
少し前までは100歳にもなると、車椅子の方がほとんどでしたが、最近では100歳を越しても歩ける方を目にする機会も増えています。
また、平均寿命はどんどん長くなってきており『人生100年時代』ともいわれています。そこで今回は、健康寿命と元気な100歳を目指すための生活のコツについてご紹介していきます。
なぜ健康寿命が注目されている??
最近、健康寿命という言葉をよく聞くようになりました。なぜ注目を集めているのでしょうか?
平均寿命と健康寿命の違い
寿命とは、産まれてから息を引き取るまでの期間を表します。
平均寿命は、全国民の寿命の平均値を算出したものです。つまり、病気やケガで寝たきりだったり、認知症を患って生活全般の介護が必要だったり、いわゆる「健康ではない期間」も平均寿命には含まれています。
そこで、WHOが提唱したのが『健康寿命』です。健康寿命とは「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を表しています。
平均寿命と健康寿命には約10年の差がある
日本は世界有数の長寿国として知られています。
WHOが発表した2021年版の世界保健統計によると、平均寿命が最も長い国は日本で84.3歳、2位はスイスで83.4歳でした。
男女別でみると、男性1位はスイスで81.8歳、女性の1位は日本で86.9歳。日本の男性は81.5歳で2位となっています。
一方で日本の健康寿命の平均は、2016 年のデータによると男性が72.14歳、女性が 74.79歳となっています。
すなわち、平均寿命と健康寿命の間には約10年の差があるのです。
出典:厚生労働省「第 11 回健康日本 21(第二次)推進専門委員会 資料
現代人は寿命の長さに加えて寿命の質を向上させることが大切
長寿であることは素晴らしいことです。ただし、寿命の「長さ」だけではなく「質」も良くしていくことを考えていかなくてはなりません。
例えば、90歳で寿命がきたとしましょう。
80歳からの10年間、病気を患って介護状態のまま過ごすのと、90歳までしっかり歩き、心身共に自立した生活を送っている人とでは、どちらが生活の質が良いかは明白です。
医療の発達により世界的に寿命が伸びている中、ただ寿命を伸ばすのではなく、健康で自立した生活ができる期間を伸ばしていくことが、現代人の新たな目標といえます。
さらに、ここ日本では、この差を少しでも埋めるべく、2040年までに「健康寿命を男女ともに3年以上伸ばす」という目標を打ち立て、健康寿命延命プランに取り組んでいます。
健康寿命を阻害する原因と対策
では、健康寿命を詐害する原因と対策について考えてみましょう。
生活習慣病を予防しよう
死亡原因の上位を占めるガン、心疾患、肺炎、脳血管障害などの病気は生活習慣との関連が深く「生活習慣病」とも呼ばれています。
まずは、健康寿命を伸ばすためには、生活習慣病の予防が大切になってきます。
飲酒や喫煙、食生活、適度な運動を行うなど生活習慣の見直しをしていきましょう。
また、高血圧や糖尿病、遺伝的に疾患の心配のある方は定期的に健康診断を受け、必要に応じて治療を行い体調管理を心がけることも大切です。
足腰を鍛えて転倒を予防しよう
毎日歩く習慣をつけることで、筋力を維持し転倒や関節炎を予防することができます。実際に、冒頭で紹介した100歳の「ぎんさん」は、『”人間は足から死ぬ”』という強い信念を持っており、毎日30分のお散歩を欠かさず行っていたそうです。
運動習慣がなくなってしまうと、以下のような問題が発生するリスクが高まります。
- 加齢による虚弱
- 転倒による骨折
- 運動器(骨、関節、筋肉)の問題
日頃から運動の習慣をつけることで筋力を維持することができます。加えて、足腰を鍛えておくことで、転倒予防の効果もあります。
健康寿命を延ばす生活のコツは?
人の習慣は「習慣化させるまで継続することが最も難しい」と言われています。
簡単に無理なく続けられるためには、上手に日常生活の中に組み込んでいくことがポイントです。
歩数計を活用すると意欲が高まる
自分が「1日に何歩くらい歩いたか」を常に確認できるようにしておくと、歩くことへの意欲が高まります。
日常生活では、買い物をしながら歩数を稼げるスーパーやショッピングモールがおすすめです。天候や気温に左右されないのですし、バリアフリー、トイレも休憩所もあるからです。
歩数計は、ベルトにつけるタイプや腕時計のタイプ、最近だと携帯電話に内蔵されたタイプなどがあります。まずは歩数計を準備して、歩くことからはじめてみましょう。
文字を書く、日記を書く
1日5分でもいいので日記を書くことをおすすめします。日記を書くことで脳が刺激されるため、認知症の予防につながるからです。
また、自分の気持ちや出来事をふりかえって文字にすることで、心を落ち着かせたり、自分と向き合う時間を作ったりすることができます。
もしも「三日坊主で日記なんてなかなか続かない‼︎」という場合は、1日の終わりに『今日良かったこと』を3つ書き出してみましょう。「夕食が美味しかった」「雲ひとつない天気だった」「風が気持ちよかった」など、どんな些細なことでもかまいません。
何気ない日常の中にも変化があり、幸せがあるという気づきを得ることができれば、自然と前向きな気持ちになれます。
元気な高齢者は年齢を気にせず、新しいことにチャレンジしている
私が尊敬する93歳の女性は、90歳まで仕事を続けていました。
現在は仕事を引退されましたが、今でも旅行や俳句など趣味に忙しい毎日を送っています。
また、最近ではお孫さんとテレビ電話をするために、スマホ教室に通い始めました。以前、会話の中で「何かを始める時に『歳だから』とか考えないようにしているの。とにかく今やりたいことをやっているだけ」と彼女は話してくれました。
元気な人は心が柔軟で好奇心も旺盛です。「今を生きること」をとても大切にしているように感じます。
私たちも歳を重ねても元気な人たちの生き方を見習っていきたいものですね。
まとめ
今回は、平均寿命と健康寿命の違いや健康寿命を伸ばすためのコツについてご紹介しました。
長寿国の日本において、平均寿命と健康寿命には約10年の差があります。
そこで、少子高齢化社会を生きる私たち現代人の課題は、いかに健康寿命を伸ばすかがポイントになるのです。
そのためには、身体だけでなく心の健康も大切です。身近にいる元気な高齢者の方の生き方をヒントに100年時代を生き抜いていきましょう。